研究課題/領域番号 |
09670402
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
鈴木 信 琉球大学, 医学部, 教授 (70101475)
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研究分担者 |
秋坂 真史 琉球大学, 医学部, 助手 (60231817)
野崎 宏幸 琉球大学, 医学部, 助教授 (40130083)
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キーワード | 沖縄県離島 / 活動的長寿 / 要介護長命 / 縦断研究 / ADL |
研究概要 |
【目的】わが国の平均寿命の伸展と65歳以上高齢者の総人口に占める割合は年々漸増し、一方では、要介護高齢者の増加を惹起している。健康長寿を得るためにはより高度な生活の質すなわちQOLを求めることが個人レベルだけでなく、社会的レベルで重要となってきた。今回、沖縄県-離島において自立した高齢者群とdisability群の医療・福祉の実態を調べるとともに、理想的なactive高齢者を対象に将来予想されるday careやday serviceへの要望と生きがいについて調査した。また、successful agingの自助・公助・共助の在り方を考究した。【対象・方法】本研究は当該離島における1975年の国勢調査時の65歳以上高齢者718人をcohortとし、20年後をターゲットとしてNested prospective studyを行った。これらの中から死亡者、転出者を除いた107人を対象として悉皆調査を試みた。調査方法は日常生活の自立性について、身体面は厚生省寝たきり判定基準、井上等及びKatz等のADL指標、老研式活動能力指標、FillenbaumのIADL、バ-セル指標を用い、精神面については、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を使用した。また、社会的背景調査も同時に実施した。【結果】調査対象者のうち、拒否1人、調査不在8人を除くと約92%の調査実施率であった。調査の結果bed disabilityの者が29人(27.1%)であり、厚生省寝たきり判定基準による概ね生活が自立している者(ランクJ・A)は66人(95.6%)、寝たきり者(ランクB,C)3人(4.3%)であった。井上等のADL平均スコアは全体で47.7点、男性49.7点、女性46.8点で、全数の4分の3が概ね自立しており、Katz等のADL指標では、総合評定でAランク(6項目すべてが自立)を示した者は約8割を占めたが、社会的環境適応能力を加味した老研式活動能力指標及びIADL尺度の結果では、自立者の割合が5〜6割と低率であった。精神面の自立性ではHDS-Rスコアから概ね自立している者が75%を占めた。【考案】bed disabilityの者と在宅のdisabilityであった者を除くと、全体のおよそ7割〜8割がactiveな高齢者といえる。しかしながら、身近な日常生活の自立度は高いが、Lawtonが最も高度で複雑な活動能力であるとした「社会的役割」の要素を加えると、自立可能な割合が5割〜6割に低下した。ことにmobilityのうち交通機関等の利用による移動能力の低下があげられられる。日常生活自立を維持することはsuccessful agingの必須要件であるが、地域の中での社会的役割を考えるならば、mobilityを中心としたsocial support systemの必要性が、また、disabilityな高齢者に対しては福祉面からのsupportの必要性が示唆された。
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