研究課題/領域番号 |
09670405
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 重幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60253994)
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研究分担者 |
東浦 勝浩 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10295347)
高木 覚 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20295348)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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キーワード | 24時間血圧測定 / 高血圧性臓器障害 / HGF / 左室肥大 / 蛋白尿 |
研究概要 |
本研究の目的は液性因子である血管内皮増殖因子Hepatocyte growth factor(HGF)の血中濃度が高血圧臓器障害の程度を反映するかどうかの検討を検討し、高血圧において心血管疾患が顕性化する以前にその状態をHGF測定により判定できるか否かを検証することにある。 昨年度までの3年間の住民検診において、インフォームコンセントが得られた対象のうち、明らかな心血管疾患の既往、糖尿病、腎疾患、肝疾患がなく、降圧薬の服用がないものでHGF測定および24時間血圧測定、心電図、眼底所見、血液、尿検査成績、(一部家庭血圧測定)がそろった症例は172名(男性77名、女性95名:平均年齢61±11歳)であった。今年度はこれらのデータベースを用い種々の解析を行った。なお、検診は早朝空腹時に行い、HGF測定は既報のELIAS法を用いて測定した。 これまでの検討結果は、1.血圧は24時間全平均、昼間時、夜間睡眠時、検診時随時、および家庭血圧値について検討を行い、HGFは24時間血圧の昼夜較差と有意な負の相関があった。2.高血圧臓器障害の指標として心電図上の左室肥大(LVH)、高血圧性眼底変化(HS)、蛋白尿、血尿陽性(UP)、血中クレアチニン濃度(Cr)を、また一部血圧上肢/下肢比(ABI)を用いた。LVH、ABIは各血圧測定における収縮期血圧と正相関を示した。3.24時間血圧測定による昼夜血圧較差の小さなものではLVH、HS、UPの頻度が多い傾向が認められた。4.LVHの認められたもの、UP陽性者およびCr2.4mg/dl以上のものでHGFが高値の傾向が認められた。5.LVH、UP、Cr濃度をそれぞれ目的変数とし、HGF、性、年齢、検診時随時血圧値、空腹時血糖値、総コレステロール値を説明変数として重回帰分析を行うと、LVH、UP、Crについては、年齢、血圧値が有意の変数として採択されたが、HGFは有意な変数とはならなかった。 以上の結果より、夜間血圧降下が障害されている者で臓器障害の進展が多くHGFは高血圧臓器障害時において代償機転として分泌され血中濃度に反映されるものと考えられる。しかしながらHGF血中濃度は交絡因子を考慮すると高血圧臓器障害の指標しては採用されなかった。
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