【研究目的】脳卒中患者について社会的予後を決定する要因を明らかにすることを目的とした。なお、今年度は、入院や入所などによって在宅生活から脱落のリスク要因および在宅生活継続に寄与する要因を明らかにすることを目的とした分析を行った。 【研究方法】研究デザイン:コホート研究のデザインで行った。ベースラインデータ:調査対照は、1993年の1年間に栃木県内の6か所の総合病院に脳卒中で入院し、生存して退院した患者516名である。1994年10月〜12月に、これら対象者に対して、予め訓令をした保健婦・看護婦が家庭訪問による面接調査を実施した。エンドポイント調査:ベースライン調査と同様に家庭訪問による面接調査で実施した。6か月以上入院や老人ホームへの入所のあった場合をエンドポイントとみなした。分析にあたってはCoxの比例ハザードモデルを使用した。性、年齢、ベースライン時点でのADLの交絡因子として扱った。 【結果】ベースライン調査の回収率は89.7%であり、さらに、エンドポイント調査までの追跡率は79.4%であった。主要な要因の在宅生活脱落のオッズ比(95%信頼区間)は以下の通りである:社会活動0.11(0.02-0.59)、介護用具の利用0.17(0.05-0.60)、住宅改造0.19(0.06-0.82)、訪問入浴サービスの利用0.20(0.05-0.90)、デイケアの利用0.22(0.03-1.67)、野菜を多く食べる0.34(0.15-0.74)、タンパク質を多く食べる0.35(0.16-0.76)、医学的管理あり0.42(0.17-1.01) 【考察】在宅サービスの中でも、介護用具の利用、住宅改造、訪問入浴サービスなどが、在宅生活を継続するために重要であると考えられた。
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