本年度は、生食用ホタテ貝と牡蛎を全国4カ所の養殖場から購入し検索を行った。検体の消化管全体を採取、低速遠心した後、30%ショ糖液をクッションにした超遠心処理し、TEbufferで再浮遊させたものをウイルスRNAの抽出試料とした。遺伝子検出には、4組のカリシウイルスPrimerを用いたPCR法で行った。 昨年に採取した材料を含めて検討中であるが、現在までに牡蛎からウイスルRNAが検出されたがホタテ貝からは検出されていない。 本研究は二枚貝のウイルス汚染状況、そしてそれがヒトの食中毒の原因となるかである。牡蛎は内蔵を含めた全体を生食する希な貝であり、ウイルスの蓄積→生食(二次汚染を含む)→食中毒のルートに重要な役割をすると考える。初めにウイルス性食中毒の原因となるカリシウイルスPrimerを用いて遺伝子の検出を行った。我々の用いたPrimerは、ヒトのカリシウイルスのみを検出すると考えていたが、他の研究者からブタのウイルスをも検出する可能性があることが示唆された。この問題は、二枚貝からのウイルス検出と食中毒の関係を明確にするにあたり非常に重要である。そのため我々は、検出したPCR産物及び衛生研究所で食中毒例から検出されたPCR産物について、遺伝子解析を現在試みている。これにより牡蛎から検出されたウイルスが食中毒の原因となるか明らかにできると考えている。 今後アストロウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルスについてもウイルス遺伝子検出を行なう予定である。
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