本年度は、年間を通じて産地より購入しているカキとホタテ貝からのウイルスRNAの検出を継続して行うと共に食中毒事例があれば所轄の衛生研究所を通じて患者便その他の分与を受け原因食品との関係を明らかにすることを計画した。また市販(消費地・関東地区)のカキについてもその汚染の状況を把握する事を計画した。対象となるウイルスはカリシウイルス、アストロウイルス、A型肝炎ウイルスである。 検索の結果、N県産のカキからは我々が検索を開始した1995年5月より採取した38検体中11検体(28.9%)からヒトカリシウイルスRNAが検出された。遺伝子型はG1型が5/11、G2型が3/11、未同定3/11であった。アストロウイルス、A型肝炎ウイルスは検出されなかった(第58回日本公衆衛生学会)。A県産のホタテ貝は、1995年10月より採取を開始したが本年2月に始めてヒトカリシウイルスRNAが検出された。現在遺伝子型を決定中である。市販のカキについてもカキの季節が冬期のため検体を蓄積しており、現在検索中である。食中毒例については、本年1月にN県のホテルで起きたスキーツアー客の3県にわたる食中毒事例があり、各県の衛生研究所から患者便より検出されたヒトカリシウイルスのPCR産物の分与を受け、遺伝子配列を検索したところ、遺伝子配列は多少の差は見られたがG2型がほとんどであり、共通の食品はホテルで供されたカキが有力視された。カキについては現在検索中である。
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