研究課題/領域番号 |
09670418
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
森河 裕子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20210156)
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研究分担者 |
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00097437)
西条 旨子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40198461)
田畑 正司 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40188404)
三浦 克之 金沢医科大学, 医学部, 講師 (90257452)
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キーワード | 交代制勤務 / 高血圧 / 循環器疾患 / 追跡研究 / 労働衛生 |
研究概要 |
【目的】深夜勤務を含む交代勤務(3交代性勤務)と高血圧、脳卒中、心筋梗塞などの循環器疾患の罹患との関連を追跡調査により検討した。 【対象と方法】某製造工場の男性の生産従事職を対象に10年間の追跡調査研究により、勤務体制と高血圧、脳卒中、心筋梗塞の罹患との関連を調査した。追跡開始年度の勤務体制は会社保管の資料から把握した。対象者は勤務体制により、常日勤、深夜勤務を含まない交代勤務(交代勤務A)、深夜勤務を含む交代勤務(交代勤務B)の3群に分けた。 (1) 高血圧罹患に関しては、1985年から1987年の3年間の定期健康診断で血圧正常域(WHO分類)で高血圧治療歴のなかったものを1997年まで追跡した。降圧剤開始あるいは定期健康診断にて3年連続境界域血圧または高血圧を示したものを高血圧罹患と定義した。少なくとも1990年まで追跡できた2231人(追跡開始時点の年齢が50歳未満)についてKaplan-Meier法を用いて勤務体制による3群間で累積罹患率を比較した。また、Coxの比例ハザードモデルを用いて、追跡開始時の年齢、BMI、平均血圧を調整した上で、交代勤務の高血圧罹患への相対危険度を求めた。 (2) 脳卒中、心筋梗塞の罹患に関しては、追跡開始年度の検査所見に関わらず1987年まで追跡した。追跡対象は2551人である。脳卒中、心筋梗塞の罹患は医療機関からの診断書から把握した。Kaplan-Meier法を用いて勤務体制による3群間で累積罹患率を比較した。 【結果】 (1)高血圧の罹患数は86人で10年間の累積罹患率は4.3%であった。全体では交代勤務B群が常日勤群に比べて有意に累積罹患率が高かった。年齢階級別にみると、30歳未満の若年層で同様に有意差を認めた。Coxの比例ハザードモデルを用いて追跡開始年度の年齢、血圧、BMIを調整しても、交代勤務B群の常日勤群に対して高血圧罹患のリスクが1.6倍と有意に高かった。(2)追跡期間中の脳卒中、心筋梗塞の罹患は12人であった。勤務体制による3群間で有意な差はみられなかった。 【まとめ】10年間のコホート研究により、深夜勤務を含む交代勤務が高血圧発症のリスクを高めることが示された。脳卒中、心筋梗塞については有意な結果は得られなかった。この点については退職後も含めたさらなる追跡が必要と考えられた。
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