平成9年度、10年度の研究より環境温(室温)と冷水浸漬温度との関連性について多くの有用なデータが得られた。本年度はさらにこれまで検討されていない、バイオリズムとの関連性を明かにするために以下の研究を行った。 健常人15名を対象に、厳密にコントロールされた温熱環境下で、2つの冷水浸漬条件の皮膚温検査法および痛覚検査を、バイオリズムの観点から実施する。とくに午前と午後実施時の反応性の差異を明らかにする。 (1)温熱条件:同一の室温条件(22℃)と相対湿度一定(60%) (2)3種類の冷水浸漬条件:10℃の冷水中に10分間浸漬、5℃の冷水中に1分間浸漬 (3)2種類の実施時間:午前9時、午後3時(異なる日) (4)衣服条件:クロー値の同じ試験衣服(上下)を下着の上に着用させ衣服条件を一定とする。 同一の冷水浸漬法においては、午後実施の方が、皮膚温は全般的に高く、冷水後の皮膚温回復も早い傾向を認めた。また、5℃法では冷水終了時の皮膚温は低く痛覚闘値は高値を示した。冷水刺激に対する反応性において実施時間により差が生じることが示唆された。 今回の検討では実施時間により同一人による皮膚温回復には統計学的に有意差は認めなかったが、同一集団を対象に継続的に実施する場合は、実施時間帯を同一にすべきである基礎的データが得られた。
|