研究概要 |
福岡市に隣接する久山町は、人口約7,500人、世帯数2,100の都市近郊農村地域である。高齢者の割合は1988年は13.3%、1993年は16.3%で全国に比べて高齢化が進んでいる。当該地域の1988,1993年に実施した成人検診を両年とも受診した651人(1988年時点)について栄養摂取状況とその加齢効果について検討した。また、高齢者の栄養パラメータとしてBMI,ヘモグロビン値、血清総コレステロール値、血清アルブミン値について検討した。 (1)体格の変化:男女とも身長、体重は有意に減少したがBMIには変化はなかった。(2)ヘモグロビン値,ヘマトクリット値は男女とも有意に減少した。(3)血清総コレステロール値,中性脂肪,HDL-コレシテロール値はいずれも減少傾向にあった。(4)血清アルブミン値は加齢とともに減少するとの報告があるが、本対象では増加が認められた。(5)栄養素等摂取状況:60歳以上の高齢者は、40,50歳代に比べて、たんぱく質、カルシウムが低値であった。(6)5年間の変化では、男女ともエネルギー,糖質,カルシウム,ナトリウム,食物繊維が減少しており、女性では,脂質の増加が認められた。(7)食品群別摂取状況:有意に増加したものは、男女とも藻類であり、男性では医も類、女性では牛乳・乳製品であった。減少したものは、男女とも、米、油脂、味噌、単色野菜、緑黄色野菜、果実類があり、男性では肉類、女性では卵類があった。(8)多変量解析の因子分析によって、食物消費パタンも検討した。さらに、1996,1997年の成績についても検討している。
|