血中のポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDDs)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)は極めて微量であり、慎重な分析が必要である。そこで、血中PCDDs/PCDFs濃度の測定法の正確さを検討するため、コントロール血しょうに標準試料を添加し、以下の要領で回収試験を行った。まず、血しょうにエタノールおよびヘキサンを加え、脂肪を振とう抽出し、乾燥後、脂肪重量の測定を行った。次いで、水酸化カリウムにより脂肪を分解した後、PCDDs/PCDFsをヘキサンで抽出した。さらにクリーンアップのため多段カラムを通した後、アルミナカラムによりPCDDs/PCDFsとPCBsを分離した。最後に10μlまで濃縮した後、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計によりPCDDs/PCDFsの測定を行った。回収率はほとんどのPCDDs/PCDFsで80%以上と良好であったが、一部の検体のヘキサCDDの回収率が60%程度と少し悪かった。このため、現在脂肪抽出の方法を少し変更し回収試験を実施している。当初の予定では、今年度に実際の検体も少し測定する予定であったが、回収試験結果に上記の問題があったためできなかった。脂肪抽出法を変えた方法での回収試験は現在進行中で、今年度中には結果がでる。それを踏まえて、来年度は焼却炉労働者および一般労働者の血しょう中PCDDs/PCDFs濃度の測定を行う予定である。
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