研究概要 |
我々はこれまで検索の進んでいなかった性染色体上の種々のマイクロサテライト、Y染色体上のDYS384、DYS388、DYS389 1/2、DYS390、DYS391、DYS288、DYS392、DYS393、DYS393とX染色体上のHUMARA(CAG)n、HUMARA(GGC)nのSTR部位を検索対象として、以下の検討を加えた。 1)無作為に選択した日本人集団200人とドイツ人177人を対象として血液を採取し、DNAを抽出して試料とした。その結果、DYS388で6種、DYS389 1/2でそれぞれ5種と7種、DYS390で7種、DYS391で5種、DYS392で9つ、DYS393で5種のアリルを同定した。2)X染色体上のSTR群に関しては、前記した実験で決定したアリル頻度を基にガ-ゼ付着血痕、体液斑、腐敗死体、白骨死体など陳旧性の試料に応用し性別判定、個人識別を試みた。HUMARA(CAG)nでの判定ではヘテロ接合率が90近くにも上るため極めて正確な性別判定が可能となった。3)Y染色体上のSTR群に関しては、前記した実験で決定したアリル頻度を基に性犯罪試料、実際の親子判定など女性由来の影響を受けない男性試料由来のみでの判定を試みた。結果DYS390,DYS389-1,DYS392での判定がヘテロ接合率が高く有効である事が明らかになった。
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