研究概要 |
飲酒後,顔面紅潮や心悸亢進など不快症状を呈するヒトは,アルデヒド脱水素酵素(ALDH)のlow Km isozymeの活性を欠き,ALDH2の遺伝子としてALDH2*2を有することがよく知られている.特に,ALDH2*2/*1のheterozygoteは,ALDH2*1/*1のhomozygoteのように多量の飲酒は困難であるが,少量の飲酒後間隔を置くと,顔面紅潮など不快症状の程度が軽減する現象が観察された.この原因として,少量のアルコール摂取がALDHの酵素活性を高めたことが考えられる.そこで本研究では,末梢血のリンパ球から抽出したmRNAを定量することにより酵素誘導の評価を試みた. 健康な日本人男子の末梢血リンパ球よりmRNAを抽出し,cDNAに逆転写した.ALDH2 mRNAと相補的な配列をもつcDNAを増幅するため,エクソン11,12及び13にまたがるプライマーを考案・作成し,これを用いてPCR法を用い目的の配列を増幅した.次にそのRT-PCR産物を,β-actinのmRNAレベルを対照として,densitometerを用いて定量することに成功した. この方法を用い,健常男性被験者について飲酒前及び後のmRNAレベルの測定及びALDH2遺伝子型による差異,飲酒後の経時的変化について検討を続行中である.
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