研究課題/領域番号 |
09670442
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
久保 新一 徳島大学, 医学部, 教授 (10205122)
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研究分担者 |
後藤田 貴子 徳島大学, 医学部, 助手 (50304506)
折原 義行 長崎大学, 医学部, 助手 (70264215)
徳永 逸夫 徳島大学, 医学部, 講師 (30116842)
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キーワード | 神経病理学 / 免疫組織化学 / 脳幹部 / 死因 / 乳幼児急死症候群 / 窒息死 / 熱ショック蛋白質 / c-Fos |
研究概要 |
乳幼児突然死症候群(SIDS)例について脳幹部延髄中央部を、HE染色、KB染色するとともに、神経細胞骨格蛋白(MAP2)、ムスカリン様アセチルコリン・レセプター(mAChR)、熱ショック蛋白質(HSP70)、c-Fosを免疫組織化学的に染色し、弓状核(ARC)、舌下神経核(HN)、下オリーブ核(IO)の神経細胞変化(障害)を検討した。その結果、全例の各神経核の神経細胞に明らかな形態学的変化は観察されず、MAP2の変化も認められなかった。神経細胞障害時に発現すると言われるHSP70とc-Fosは、1例のみのIOに発現が認められ、HN、ARCに発現は認められなかった。ARCにおいては、MAP2に障害が認められなかったにもかかわらず、mAChR陽性像に変化が認められた。そこでARCの神経細胞数、mACh陽性細胞数について詳細に検討したところ、SIDS群ではARCにおける神経細胞数が対照群(SIDS以外の乳幼児剖検例)に比し多い傾向が得られた。また、SIDS群と対照群ではmAChR陽性細胞の数そのものに差がなく、SIDS群ではmAChR群では陽性細胞/神経細胞比が低い傾向が認められた。 呼吸障害をきたして死亡した法医剖検例のうち、頚部圧迫(縊・絞・扼頚)群、鼻口閉塞・気道内異物群、溺死群、呼吸不全群の4群と、対照群として熱射病・日射病群の合計5群の30例について、前述した方法で神経病理学的に観察し死因と弓状核(ARC)、舌下神経核(HN)、下オリーブ核(IO)の神経細胞変化(障害)との関係を検討した。その結果、全30例の各神経細胞に明らかな形態学的変化は観察されず、免疫組織科学的に細胞骨格蛋白の変性も明らかではなかった。神経細胞障害時に発現するといわれるHSP70とc-Fosは、外因による窒息死症例において、HNとIOの神経細胞に発現が認められた。従って、HNでは、窒息死群における選択的な神経細胞障害が考えられた。また、IOにおいては、溺死群で他の群に比し、HSP70とc-Fosが高率に発現していた。
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