研究課題/領域番号 |
09670454
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
佐藤 啓造 昭和大学, 医学部, 教授 (20162422)
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研究分担者 |
田口 智子 昭和大学, 医学部, 助手 (30266085)
李 暁鵬 昭和大学, 医学部, 助手 (90245829)
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キーワード | HPLC / MS / 高速液体クロマトグラフィー / 高速原子衝撃質量分析法 / イオンベアー逆相HPLC / 抗生物質 / アミノグリコシド系抗生物質 / 固相抽出 / 薬物ショック死 |
研究概要 |
本年度は8種類のアミノグリコシド系抗生物質について分析した。通常の逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で昨年度報告したセフェム系抗生物質は分析可能であったが、アミノグリコシド系抗生物質はカラムに保持されなかった。そこで、イオンペアー逆相HPLCを試みたところ、8種類すべての薬剤が保持されたので、イオンペアー逆相HPLC/高速原子衝撃(FAB)-質量分析法(MS)による分析を行った。 まず、標品の分析をするため、アミカシン、ジベカシン、ネオマイシン、カナマイシン、べカナマイシン、パロモマイシン、トブラマイシン、リボスタマイシンの標品を蒸留水に溶解して標準液とした。8種類のアミノグリコシド系抗生物質標準液すべてについて、強い強度の擬分子イオン(MH^+)ピークが検出され、MH^+または脱離した糖鎖のフラグメントイオンがベースピークとなるマススペクトルが100ng以下の検出限界で再現性よく得られた。なお、いずれの薬剤についても、フラグメントイオンピークを適当量含んでいた。 次に、ドラッグフリー血清にリボスタマイシンを10μg/ml及び20μg/mlの濃度となるよう添加した薬物添加血清を作製した。また、死亡の約1時間前にリボスタマイシン1gを筋肉注射したとされる剖検例の心臓血を入手し、遠心により血清を分離した。薬物添加血清及び剖検例の血清についてボンドエルートC_<18>による固相抽出を行ったのち、逆相HPLC/FAB-MSによる分析を試みたところ、リボスタマイシンの標品とほぼ一致するマススペクトルが得られた。なお、剖検例の血液では、昨年度のセファゾリンの事例と同様、マスクロマトグラム上に顕著な不純ピークが出現したが、薬物由来のピークと完全に分離していた。以上の結果を近く専門誌に投稿予定である。今後、他の抗生物質、例えばペニシリン系抗生物質についても同様の分析をする予定である。
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