研究課題/領域番号 |
09670456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 公一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60171211)
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研究分担者 |
西尾 元 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90253260)
田村 明敬 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50207239)
宮崎 時子 大阪医科大学, 医学部, 助手 (60084919)
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キーワード | ABO式血液型 / 遺伝的組換え / 塩基置換 |
研究概要 |
交付申請書の研究実施計画に示したようにまず、ABO血液型(以下ABO)遺伝子の主要4対立遺伝子、A1、B、O1、O1v間にみられる、イントロンを含めたエクソン2から7までの塩基置換を明らかにした。翻訳領域ではエクソン3から7に塩基置換がみられたが、エクソン3、4、5ではO1vだけが他の3遺伝子と異なっていた。またイントロンでもイントロンVIを除いて、主にO1vだけに塩基置換が集中していた。置換のほかに挿入もみられ、特にイントロンIVには、14塩基の挿入が検査した日本人、ドイツ人のO1v遺伝子すべてに観察された。このようにO1vにおける変異の集中の意義については今後の検討課題である。 これらの塩基置換をSSCP法で検出することによって日本人、ドイツ人集団を再検討したところ、日本人集団にO1vとBの組換え体(O1v-Bという構成)、ドイツ人集団でO1とA1の組換え体(A1-O1という構成)になっている例を1例ずつ見いだした。塩基配列を解析した結果、日本人例の組換えのブレークポイントはイントロンIVの約120塩基足らずの範囲内であった。ドイツ人例については、A1遺伝子とO1遺伝子間でイントロンIIIの後半からイントロンIVのほとんどにわたって配列の違いがないので、組換えのブレークポイントは約2.5kb長の領域内にしか特定できなかった。 日本人、南米先住民など蒙古系集団にはABO遺伝子組換え体が存在していることが、我々の研究とほぼ同時にいくつか報告されているが、今回白人集団にも存在することが初めて示された。多種類の集団に関するデータはまだないが、現時点では日本人での組換え体頻度が最も高く(1〜2%)、O1v遺伝子にみられる塩基置換の極端な集積とともに、これらの原因の解明が次年度の検討課題と考えている。
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