本研究ではRA、PSS、SLEについて、DM遺伝子の疾患感受性遺伝子としての可能性を検討し、さらに臨床所見との関連を検討した。正常群(77名)ではDMA*0101-0103のアリルが検出された。DMA*0102とDMB*0101間に強い正の相関がみとめられた。日本人では白人と比べてDMA*0102、DMB*0101が少なく、DMB*0102、0103が増加しており、明白な分布差がみられた。RA(91名)ではDMA*0101が52.2%と増加傾向であった。RAで増えているDRB1*0405とDMB*0101との間にはχ^2=3.02の弱い相関があり、RAでのDMB*0101の増加傾向はDRB1*0405に伴う二次的なものと考えられた。疾患感受性ハプロタイプとしてDRB1*0405-[TAP2B-DMA*0102-DMB*0101]が感受性に、DRB1*0802-DMB*0103が抑制的に働いていると考えられる。臨床所見との関連ではDMB*0102群でr-SSA抗体陽性率が高く(27.3%)、エズリン系80KD抗原に対する抗体はDMA*0102群の61.5%で認められた。又、DMA*0102群では尿蛋白陽性率が高値を示した(44%)。リウマチ因子との関連はなかった。PSS全体ではDMB*0103が20.0%と対照と比べて有意に減少していた。DMB*0101はDiffuse型(DS)で70.0%、Sc1-70群(Sc1)で68.2%と有意に増加していた。DS群やSc1群で増えているDRB1*1502とDMB*0101との間には有意な相関があり、DMB*0101の増加傾向はDRB1*1502に伴う二次的なものと考えられた。DS群、Sc1群の感受性ハプロタイプとしてC4BQ0-DRB1*1502-DMB*0101が考えられる。PSSでは、DMB*0103と肺繊維症の間に有意な負の相関があった。肺繊維症とTNF、HSP-70との関連を検討したが有意な相関はみられなかった。SLE51名の検討では、DMA、DMBの頻度に対照群と比べて優位な差はなかった。抗DNA抗体陽性群では、DMB*0101が増加し(p=0.045)、SS-A群でも増加傾向があった。今回の検討では、新たなDM alleleはみつからなかった。
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