研究概要 |
1型アレルギー性疾患では、アレルゲン特異的な又高IgE血症を示す患者では比較的ポリクローナルTH2細胞の分化が認められる。1型アレルギー性疾患でのTH1に対するTH2細胞の優位性を決定する因子を明らかにするために、ナイーブT細胞のTH2細胞への分化因子であるIL-4の好塩基球やNK1.1T細胞からの産生能やIL-4遺伝子発現調節領域の多型性の有無を検討した。遺伝子解析ではIL-4の転写開始点より-525番目のC/T,-457番目のT/Gの多型性を認めたが、この多型性やまた好塩基球やNK1.1T細胞からのIL-4産生能は、直接TH2の優位性と相関しなかった。高IgE血症を示すアトピー性皮膚炎では単核球からのPGE2とIL-6の過剰産生が認められ、TH2細胞への分化決定に関与する分子であることが示唆された。しかしIL-6欠損マウスでの抗原特異的T細胞応答やヒトでの抗IL-6受容体抗体投与による血清中サイトカイン(IL-4,IFNγ)の検討ではむしろIL-6はTH1への分化をin vivoで増強する分子であることが明らかとなった。事実高IgE血症ではIL-6の過剰産生のため、in vitroのナイーブT細胞のTH2細胞への分化が抑制されている。今後1型アレルギー性疾患では何故抗原提示細胞からのPGE2とIL-6の過剰産生が認められるのか、その機序の解析と共に、1型アレルギー性疾患でのTH2細胞の優位性を決定する因子に関して抗原提示細胞から分泌される分子を中心に検討を進める予定である。
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