研究概要 |
1.遺伝子免疫による全身系免疫と粘膜免疫の誘導 アレルゲンをコードするplasmid DNA(pDNA)を皮膚に免疫することにより,アレルゲン特異的な全身系免疫反応(抗原特異的な血清IgG抗体)が誘導された.pDNA免疫マウス由来の抗原特異的CD4+T細胞は,IFN-γを産生し,IL-4,L-10を産生しないThl細胞であることが確認された.一方,pDNAを胃粘膜に免疫することにより,粘膜免疫(抗原特異的な糞便IgA抗体)と全身系免疫(抗原特異的な血清IgG抗体)が誘導されることを確認した.これらのマウス由来の抗原特異的CD4+T細胞はIFN-γとL-10を産生し,IL-4を産生しないことが判明した. 2.遺伝子免疫による肺好酸球浸潤の抑制 抗原吸入誘発肺好酸球浸潤マウスモデルを用いて,pDNAを皮膚または胃粘膜に免疫した場合の肺好酸球浸潤への影響を検討したところ,pDNAの免疫により,肺への炎症細胞の浸潤がに抑制された.その抑制効果はpDNAを胃粘膜への免疫した場合のほうが効果的であることが判明した.IL-10には好酸球浸潤抑制効果があることより,胃粘膜免疫によって誘導されたCD4+T細胞が気道粘膜でIL-10を産生し,より効果的に浸潤を抑制できたと推定した. 今後,上記仮説が正しいか,さらに検討を加えると同時に,肺好酸球浸潤のみならず,即時型および遅発型気道反応をも抑制できるかも検証する.
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