セラミドはFasのシグナル伝達分子の一つであり、リンパ球にアポトーシスを誘導する。我々は構造がセラミドに類似している新しい免疫抑制薬FTY720のFas発現欠損MRL-lpr/lprマウス(lprマウス)に対する投与実験を行い、治療に有用である事を報告した。今回は、セラミドそのものを治療に使用できるかどうかを検討することを目的とした。セラミドには側鎖の長さによりいろいろなものがあり、側鎖の短いものでなければ細胞内に入り細胞をアポトーシス死に導くことはない。従ってここではにC2-セラミドを使用する。 すでに自己免疫病を発症している4ヶ月齢のlprマウス(各群15匹)に対して、オリーブオイルに溶解したC2-セラミド(2mg/kg)を週3回経口的に継続投与した。コントロールとしてオリーブオイルのみを経口的に投与する群、デキサメサゾン(2mg/kg)を経口的に投与する群をおいた。血中の抗DNA抗体価の推移や生存曲線および腎障害の程度を組織学的に検討した。 8ヶ月齢ではオリーブオイルのみ群に比しC2-セラミド投与群は生存率の上昇、牌臓のCD3陽性double negative T細胞の減少、抗ds-DNA抗体の低下と腎糸球体への免疫グロブリン沈着の減少が認められた。その程度はデキサメサゾン投与群と同程度であった。また抗Fas抗体を投与した際に認められる肝障害やデキサメサゾン投与群に認められたような高血糖は認められなかった。 C2-セラミドの経口投与は全身性エリテマトーデスの新しい治療法になる可能性がある。
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