研究概要 |
1 :末梢血におけるaEb7の発現とその調節 SLE,SjS患者末梢血におけるαEβ7の発現を、フローサイトメーターによって解析したところ、SLE末梢血リンパ球でその発現が有意に増加していた。αEβ7は、主としてレクチンで活性化されたリンパ球のCD8+T細胞に発現されるが、正常人では、その50%程度がαEβ7を発現していたのに比し、SLEでは90%以上にαEβ7の発現を認める症例が存在した。その臨床的特徴について解析した結果、口腔内潰瘍を有する症例、胸膜炎、心膜炎を有する症例に高度のαEβ7発現が見られた。シェーグレン症候群、強皮症末梢血リンパ球には、αEβ7の高発現を認めなかった。2 :障害組織でのαEβ7,E-Cadherinの発現 SLE口腔粘膜および胸膜生検、SjS小唾液腺生検材料を用いて、コンフォーカルレーザー顕微鏡でαEβ7がどの細胞群に発現され、どのような障害部位に関連しているか検討した。リガンドであるE-Cadherinと2重染色し両者の位置関係を検索したところ、浸潤CD8+T細胞にαEβ7が発現され、しかもE-cadherin+上皮細胞に接してそれら細胞が存在していた。大変興味深いことに、αEβ7+CD8+T細胞に接する上皮細胞はアポトーシスに陥っており、このような接着メカニズムを介して、組織障害が起こっている可能性が示唆された。3 :in vitro 接着アッセイ この点をin vitro接着系を用いて解析したところ、患者由来のαEβ7+CD8+T細胞は、上皮細胞株HSGと、αEβ7/E-cadherinを介して接着し、上皮細胞にアポトーシスを誘導することが確認された。4 :αEβ7/E-cadherin接着の抑制 教室で作成した抗αEβ7モノクローナル抗体SM-17および数種類の抗体で、in vitro αEβ7接着に対する抑制効果を検討したところ、SM-17,2G5の二つのクローンが90%以上の優れた抑制効果を示した。
|