研究概要 |
1. 我々の以前の検討ではTh1/Th2いずれもSLEに関与していることを報告している.そこでSLEのTh1/Th2バランスの異常を明らかにするため,それらの誘導に重要であるIL-12とIL-4の役割を検討したところ,いずれも自己抗体の産生には関与していたが,IL-4がループス腎炎の発症に関与していた.Th2の誘導機序をさらに明らかにするため,CD86 costimulatory分子の関与を検討したところ,CD86はTh2の誘導のみならず,すでに誘導されたTh2細胞の再活性化にも重要であることをin vivoにて明らかにした.またB細胞costimulatory分子であるCD19,CD21の役割を検討したところ,いずれも自己抗体産生に対し,負の制御をかけていることを明らかにした. 2. 他のcostimulatory分子であるTNF/TNF受容体群に関しての検討ではFas/FasLによるアポトーシスがヒトSLE皮膚病変やシエーグレン症候群唾液腺病変に関与していることを明らかにした.またCD40Lの異常発現により自己免疫現象の誘導が可能であることを明らかにした.またOX4OL-OX40,CD70-CD27が細胞性自己免疫疾患である慢性関節リウマチ・多発性硬化症モデルの発症に関与していることを明らかにした. 3. ヒト慢性関節リウマチ(RA)検体を用いた検討から、関節局所に集積しているT細胞はそのほとんどがケモカイン受容体であるCCR5陽性Th1細胞であり、それに対し末梢血のそれは減少していた。関節液中にはCCR5リガンドであるMIP1α,RANTESが高濃度に存在していた。このことから、関節局所にて産生されたMIP1α,RANTESがCCR5陽性Th1細胞を選択的に遊走させることを見い出し、関節特異的なT細胞浸潤機構の一端を明かにした。
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