研究概要 |
1.IL-12プラスIL-2で誘導された癌患者由来の強いキラー細胞(LAK,CTL)のフェノタイプの決定を行った。その結果、LAK細胞は主にCD8-CD11b+,CD8-CD16b+,CD3-CD56+のNKタイプで、一部の細胞はCD8+CD11b-T細胞であった。CTLは主にCD8+CD11b-T細胞であり,その他CD8-CD11b+,CD8-CD16b+,CD3-CD56+のNKタイプの細胞の混合が認められた。 2.進行胃癌患者の癌細胞から癌細胞増殖因子EGF,TGF α産生され、その結果癌細胞表面膜にはEGFレセプター(EGFR)が高頻度で発現している。特に、癌性胸・腹水より得た転移癌細胞には強くoverexpressされていることが判明した。食道癌細胞に発現しているEGFR分子は放射線治療によりその発現が有意に減少した。 3.消化器癌の原発巣、転移巣にcostimulatory分子[B7-1(CD80),B7-2(CD86)]、CD44v6,CD44v9分子発現の程度をFACS解析にておこなった。その結果、B7-1,B7-2分子共に正常胃粘膜、食道粘膜細胞、及び癌原発巣にはconstitutivelyに発現しているが、転移巣(癌性胸・腹水)ではB7-2の発現は認めるものの、B7-1分子は欠如していることが判明した。この事実は癌の浸潤・増殖に対する低免疫応答性の一因となっていると想定された。 4.消化器癌の原発巣、転移巣にCD44 splice variants,v6,v9分子の発現につき検討を加えた。その結果、CD44v6分子は胃癌などの腺癌には発現しておらず、食道癌などの扁平上皮癌に発現が認められた。CD44v9分子は胃癌、食道癌共に発現しており、特に転移巣にてoverexpressionしていた。食道癌に発現が認められるCD44v6分子は放射線治療により有意に減少したが、CD44v9分子は変化せず、その機能の面から注目される。
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