研究課題/領域番号 |
09670512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾形 逸郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80169169)
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研究分担者 |
柳瀬 幹雄 東京大学, 医学部附属病院, 医員
富谷 智明 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90227637)
池田 均 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80202422)
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キーワード | 細胞外マトリックス / Rho Kinase / 硬変肝 / リン酸化 / 肝星細胞 |
研究概要 |
細胞外マトリックスにより細胞の形態と機能が規定されることが知られている。硬変肝では、細胞外マトリックス含有量が著増するとともにその組成も正常肝とは大きく異なる。肝線維化に際して肝星細胞は活性化し、大量の細胞外マトリックスを産生するとともに、その改築に重要な役割を果たす。我々は、肝線維化における星細胞の役割を明らかにすることを目的に、星細胞が発現する蛋白のクローニングを行い、新種のserine/threonin protein kinase(PK)を見出し、それが細胞外マトリックスからのシグナル伝達に関与するものと推定して報告した。本PKは、類洞内皮細胞、Kupffer細胞等の他の肝細胞にも発現しており、これらの細胞の形態、機能維持にも関与するものと想定した。本年度は、本PKの機能解析を行い、細胞機能発現における細胞外マトリックスの関与を明らかにすることを目指した。 本PKの全塩基配列を決定した結果、脳cDNAライブラリーよりクローニングされて最近報告された低分子量G蛋白質Rhoの標的蛋白質Rho-kinase(RK)と同一であることが明らかになった。Rhoは、接着班やストレス線維の制御に主要な役割を演じ、RKが直接これらの制御に関わる可能性があることが示されている。以下の検討に先立ち、まず抗RK抗体を作製した。これまでに、星細胞において三量体G蛋白質カップル膜受容体刺激によりRKのセリン/スレオニン自己リン酸化が生じること、また、細胞外マトリックスとの接着や細胞間接着の程度によりその自己リン酸化が調節されることを明らかにし、接着の情報を内部に伝達している可能性を示した。現在、細胞外マトリックスの違いによるRKのリン酸化に対する影響を細胞機能(細胞外マトリックス産生、収縮能等)との関連で検討中である。
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