研究概要 |
純系マウスにおけるC型肝炎ウイルス・コア抗原に対する免疫応答. MHC-H2領域のみ異なり,他はまったく同一の遺伝子を有する純系マウス(B10,B10S,B10M,B10D2,B10BR,B10P)にHCVコア抗原で免疫し,経時的(2-10週)な抗体価の推移を観察した.HCVコア抗原としては,全長を含むFLC抗原と2/3の領域を含むJCC(1-120)抗原の2種類の抗原を用いた。10週目の抗体価は高反応群(B10M),中等度反応群(B10,B10S),低反応群(B10D2,B10BR,B10P)の三群に分けられた.JCC抗原を用いて免疫刺激を行ったところ,FLC抗原の場合と同様であり,高反応群(B10M),中等度反応群(B10,B10S),低反応群(B10D2,B10BR,B10P)の三群に分けられた.抗体の認識するcore領域内エピトープは,P11-25,p21-35,p51-65を認識するものが多かった.コア抗体のIgG subclassは,6種類のマウスとも同様で,IgG2b>IgG2a>IgGlであった.次にT細胞の認識するcore領域ペプタイドを調べるため、高い抗体産生が見られたマウス(B10,B10S,B10M)にFLC抗原50μgでfoot padに免疫刺激を行ったあと,所属リンパ節より得られたリンパ球をHCV-core peptideとともに培養し,リンパ球の幼若化反応を^3Hチミジンを用いて測定した.T細胞認識するエピトープはB10マウスはp11-25,B10Sマウスはp161-175,B10Mマウスはp51-65であった. 2. C型肝炎患者のHCV抗体のコア領域内の認識エピトープ. 急性および慢性C型肝炎患者血清を用いて,HCVコア抗体の認識エピトープを検索した.急性C型肝炎患者でのHCVコア抗体の認識エピトープは散在しているものの,1/3の症例ではp51-65を認識していた.一方.慢性C型肝炎患者でのHCVコア抗体の認識エピトープは大多数の症例において,pl-15,p11-25,p21-35,p31-45に結合し,一部の症例のHCV抗体は,p41-55,p51-65,p101-115に結合した.コア抗体のIgG subclassは,IgGl>IgG3であり,IgG2とIgG4は認められなかった. 次にHCV-envelope antigen(El)構成ペプタイド内の認識エピトープを検索したところ,どの症例も,envelope(El)領域ペプタイドには,まったく結合しなかった.
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