研究課題/領域番号 |
09670516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80240703)
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研究分担者 |
森屋 恭爾 東京大学, 医学部付属病院, 医員
四柳 宏 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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キーワード | C型肝炎 / トランスジェニックマウス / 唾液線炎 / シェ-グレン症候群 / エンベロープ蛋白 |
研究概要 |
我々のグループは、HCVのエンベロープ遺伝子を導入してトランスジェニックマウスを樹立した。このマウスでは、遺伝子型1b型HCVのエンベロープ遺伝子(E1とE2)がB型肝炎ウイルスX遺伝子の制御領域を用いて導入されている。このトランスジェニックマウスでは既に報告したように、肝においては高度のE1とE2蛋白の発現にもかかわらず、何らの組織学的変化も生じてこない。これに対して、同様にE1、E2蛋白の発現の認められた唾液腺においては、マウス出生後数か月から特徴ある組織変化が生じてきた。すなわち、まず、唾液腺内の小血管の周囲にリンパ球浸潤を生じ、これが次第に拡大し、約6か月齢には、小葉内導管の周囲に著明なリンパ球浸潤を認めるようになる。また、この唾液腺炎はゆっくりと進行性であり、約一年半を経過すると唾液腺内の導管の増生や実質の脱落と線維化を認めるようになる。これらの病変は、ヒトにおけるsjogren症候群における唾液腺病変に酷似している。また、涙腺においても同様な炎症像を認めている。このトランスジェニックマウスには、このように著明な唾液腺病変が認められるにも拘わらず、体重減少や衰弱もなく、寿命である24か月以上を全うしている。 唾液腺病変の頻度を月齢毎にみていくと、3か月齢以内に病変は出現し、全体では80%以上のトランスジェニックマウスで唾液腺炎が出現している。これに対して、非トランスジェニックマウスでは、113匹中の2匹にごく軽い唾液腺炎を認めたのみであった。また、唾液腺炎の出現に性差は無かった。唾液腺炎とエンベロープ蛋白発現との間には、強い関連が存在する。 本トランスジェニックマウスの意味するところは、2つある。ひとつは、HCVとsjogren症候群あるいはsjogren症候群類似の唾液腺炎との関連を実験的に証明できたことである。ふたつ目は、HCVのエンベローブ蛋白がsjogren症候群様唾液腺炎の発症の原因になっていることを示したことである。
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