研究概要 |
(1)非A〜E型の急性,慢性肝疾患におけるG型肝炎の関与 1983年から1994年までに当科に入院した非A〜E型急性肝炎16例につき、GBV-Cを測定した。16例はいずれも散発性であり、GBV-C RNAは全例陰性であった。また1991年から1994年までの4年間に入院加療を行った非B非C型慢性肝炎3例、肝硬変14例、肝細胞癌20例に関しては、慢性肝炎の1例のみがGBV-C RNA陰性であった。G型肝炎の1例はchronic lobular hepatitisで感染経路は不明であった。わが国の非A〜E型急性,慢性肝疾患におけるG型肝炎の関与は少ないと考えられた。 (2)透析患者におけるGBV-C RNAの検出 8つの透析センターの645人の透析患者につきGBV-C RNAを測定した。その結果40人(6%)が陽性であり、供血者の0.9%に比し有意に高い保有率を示した。GBV-C陽性の透析患者は陰性例に比し、輸血歴が多く、透析期間が長く、HCV抗体保有率が有意に高率であった。透析患者におけるG型肝炎の感染経路は輸血が主であるが、透析施設での院内感染の可能性も否定し得ないと考えられた。 (3)GBV-Cの重感染したC型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療 IFN治療を行ったC型慢性肝炎140例中16例(11%)にGBV-Cの重感染を認めた。重感染16例とHCV単独感染例124例の間には、臨床背景、肝組織像、肝機能検査、ウイルス学的所見、IFN反応性に差異を認めなかった。IFN投与により重感染例16例全例で、HCVとGBV-Cのウイルス抑制が観察されたが、IFN終了6ヶ月後にウイルスの消失がみられたものはHCVでは4例、GBV-Cでは3例のみであった。後者のうち2例はその後のウイルスが再陽生化した。G型肝炎の重感染により、C型肝炎の病態は修飾されず、INF投与により両者はともに抑制されるが、GBV-CはHCVに比し比較的抵抗性であると考えられた。
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