研究概要 |
1) GBV-C/HGVが重感染したC型肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療ー病態,治療効果,抗ウイルス作用ー 1992年6月から1997年6月までに当科でIFN治療を行ったC型慢性肝炎195例中23例(12%)にGBV-C/HGV RNAを検出した。 (1)GBV-C/HGVの重感染を認めた23例中22例は男性で、HCV単独感染例172例中130例より有意に男性例が多かったが、年齢分布、推定される感染経路、急性肝炎歴、肝機能検査成績、肝組織像、HCV遺伝子型、ウイルス量には差異を認めなかった。GBV-C/HGVの重感染はC型肝炎の病態に影響しないと考えられた。(2)重感染群23例中8例(35%)、HCV単独感染群172例中60例(35%)が、HCVに対してresponderであり、GBV-C/HGVの存在はHCVに対するIFN効果に影響しなかった。(3)IFN投与により全例でGBV-C/HGVRNAの低下が観察され、IFN投与終了時23例中12例(52%)が陰性化を示したが、投与終了により3/4の症例ではただちに再上昇がみられた。特にIFN治療前のRNA高値例ほど再上昇が急峻であった。IFN終了6ヶ月の時点では5例(22%)でGBV-C/HGVの陰性化が持続したが、うち2例はその後再陽性化した。尚、重感染例におけるALTの推移はGBV-C/HGVには依存せず、専らHCVの消長に依存した。(4)GBV-C/HGV再陽性化した例につきhelicase regionの塩基配列を比較したが、IFNによる変異は認めなかった。以上よりGBV-C/HGVはIFNに感受性を有するものの、HCVに比し、より抵抗性であると結論された。 2) GBV-C/HGV以外の非A〜E型肝炎ウイルス 急性肝炎の15〜25%、慢性肝疾患の5〜10%は非A〜E型である。GBV-C/HGVの関与は少ないことが判明したことから、他の肝炎ウイルスの存在が注目される。1997年Nishizawaらにより発見されたTTウイルス(TTV)の関与を検討する予定である。
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