HGVの増殖部位をin-situ hybridization法およびstrand specific PCR法を用いHGV RNAを検出することにより検討した。対象はHGV感染のある6例と感染のない6例である。感染例中、2例は肝移植後に免疫抑制療法を受けている患者であり、4例は免疫抑制療法を受けていない。in-situ hybridzationには、パラフィン包埋組織を使用し、HGV遺伝子特異的なジゴキシゲニン標識RNAプローブを用いて行った。特異的に結合したプローブはALP標識抗ジゴキシゲニン抗体により検出した。陽性シグナルはHGV感染のある6例中2例に観察されたが、HGV感染のない6例では観察されなかった。陽性シグナルの得られた2例はいずれも免疫抑制下の症例であり、非抑制下の4例では陽性シグナルは得られなかった。陽性であった2例では、プラス鎖とマイナス鎖がともに、門脈域に浸潤している単核球(リンパ球)の細胞質に検出された。しかし、肝細胞には検出されなかった。 上記成績が得られたため末梢血単核球についてHGVのnegative strandの検出を試みた。鎖特異的なPCRは、通常のRT-PCRにrTth法を加えて行った。この結果、肝組織中でHGV RNAが検出された2例では、末梢血単核球中でHGVのnegative strandが陽性となった。 血清中HGV RNA量を、免疫抑制下の9例と非抑制下の19例で比較した。HGV RNA量は競合PCR法により測定した。この結果、HGV RNA量は免疫抑制下の症例で優位に高値であった(中央値10^7vs.10^4copy/ml、P=0.003)。 以上より以下の結論を得た。1)HGVの増殖は免疫抑制下でより活発である。2)HGVは肝細胞ではなく、単核球中で増殖している可能性が示唆された。
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