肝組織中HCVの局在と病態 1.in-situ hybridizationの方法と対象 HCV増殖の肝組織内分布および血清中HCV RNA量との関連をin-situ hybridization法により検討した。HCVのin-situ hybridizationは基本的にHGVと同様の方法で行った。検出用のジゴキシゲニン標識RNAプローブは、1b型HCV遺伝子のNS5A領域で設定しin-vitro transcriptionにより作製した。対象は1b型のC型慢性肝炎患者8症例で、この内bDNA法で血清中HCV RNA量が1MEQ以上の症例が5例、以下の症例が3例である。肝組織はホルマリン固定した肝針生検材料を用いた。 2.成績 全ての検体でhybridization signalが、主として肝小葉の肝細胞細胞質に課粒状に検出された。また、門脈域の胆管上皮細胞の細胞質にも一部signalの存在を認めた。いずれの細胞においても、細胞質内シグナル陽性で核内シグナルは陰性であった。肝小葉内における局在は、中心静脈周囲にHCV陽性肝細胞が多い傾向が認められた。血清中のウイルス量の違いによるsignal量の差は明らかではなかった。 3.今後の展開 C型慢性肝炎インターフェロン療例について肝組織内のHCVの局在を検討する。対象はインターフェロン単独(4例)またはリバビリンとの併用療法を試行した11症例で、治療直前と直後でのHCVの局在を検討中である。この検討により、HCV肝内局在と治療効果との関連、および治療終了直後におけるHCVの肝内存在様式を明らかにする。
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