研究概要 |
1.肝組織内浸潤T細胞のクロナリティの証明とCDR3のアミノ酸配列の決定 8名の自己免疫性肝炎(AIH)患者肝組織よりmessenger RNAを抽出し、cDNAとし、T細胞レセプター(TCR)VβプライマーにてPCRを行い、さらにサイズスペクトラタイピングを行った。その結果、ある特定のVβを持ち、単クローン性に増殖していると考えられるT細胞が肝組織に浸潤していた。クローンと思われるT細胞は複数存在し、また、複数の症例に共通のものもみられたが、症例ごとに異なるものがみられた。これらT細胞のTCR VβDNAをベクターを用いてクローニングし、CDR3のシークエンスを現在解析中である。以上の結果より、AIHにおいて、ある特定の抗原を認識して増殖するT細胞が肝細胞障害の原因になっていることが示唆された。 2.アシアログリコプロテインレセプター(ASGPR)抗原に対するAIH患者末梢血リンパ球の増殖反応 AIH,BおよびC型慢性肝炎(CH-B,CH-C),原発性胆汁性肝硬変(PBC),コントロールの末梢血リンパ球をASGPR抗原にてin vitroにて刺激し、その増殖反応をDNA合成でみた。その結果、AIHにてstimulation index (SI)が高値のものが多く、次にCH-Cにても反応するこのがみられた。しかし、CH-B,PBCおよびコントロールでの反応はほとんどみられなかった。この結果より、ASGPRはAIH特異的とは断定しにくいが、CH-CとAIHに一部共通の抗原である可能性がある。
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