研究課題/領域番号 |
09670538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
楠神 和男 名古屋大学, 医学部, 講師 (00234427)
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研究分担者 |
篠田 昌孝 名古屋大学, 医学部, 医員
安藤 貴文 名古屋大学, 医学部, 医員
伊奈 研次 名古屋大学, 医学部, 医員
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / インターロイギン15 / 粘膜固有層単核細胞 / polymorphonuclear neutrophils |
研究概要 |
内視鏡検査によって得られた大腸生検粘膜組織の培養上清中にIL-2はその活性を全く認めず、IL-7活性も一部の症例に検出できたのみであった。。IL-15活性は、対照と比較して、活動期IBDにおいて高値を示した。in situ hybridizationと酵素抗体法を用いて腸管粘膜におけるIL-15のmRNAと蛋白の局在を解析すると、粘膜上皮細胞およびCD68陽性のマクロファージに発現がみられ、IBDでは対照に比べてIL-15の発現をより高度に認めた。IL-15は、IL-7より高度に、粘膜固有層単核細胞(LPMC)の増殖および細胞障害活性を誘導し、その効果はIL-2とほぼ同程度であった。さらに、IL-15により、LPMCからTNF-αおよびIFN-γの産生が増加し、IL-2受容体α鎖の発現が増強した。腸管粘膜組織の培養上清が有する好中球に対する遊走活性と腸管線維芽細胞由来の細胞外基質に対する接着能およびアポトーシス抑制は活動期IBDの培養上清で高く、抗IL-8抗体および抗GCS-F抗体でそれぞれその効果は中和された。IBDの治療に使用されている薬剤であるプレドニゾロン、5-アミノサリチル酸、サイクロスポリンの効果を好中球の遊走、活性酸素産生、サイトカイン産生(TNF-α,IFN-γ)およびアポトーシスの面から検討すると、サイクロスポリンはプレドニゾロン、5-アミノサリチル酸に比べて、好中球の遊走、活性酸素産生、サイトカイン産生を高度に抑制した。しかし、これらのどの薬剤も好中球のアポトーシスには影響を及ぼさなかった。以上の結果から、腸管局所におけるサイトカイン産生の異常と免疫担当細胞および好中球と間葉系ならびに血管内皮細胞との相互作用がIBDの病態に深く関与していることが推測された。
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