研究概要 |
1.平成9年度に我々はin vivo electroporation法をもちいて、マウス肝にHCV遺伝子を導入しHCV蛋白を発現させ、HCV特異的CTLを誘導したことを報告した。今年度このマウスでの遺伝子導入6週後以降の特異的抗体の出現を確認した。さらにHCVcDNAを筋肉内に接種免疫後、肝にHCV遺伝子を導入し組織学的に肝炎像を観察し得た。現在経時的な組織学的変化を検討中である。2.マウスにおけるHCVに対するCTLの誘導はrecombinantvirusでの免疫以外では困難であるが我々は様々な方法でHCV特異的CTLを誘導し以下の結果を得た。(1)core蛋白のCTL-epitope単独の免疫では特異的CTLは誘導されないがHelper-epitopeを結合したキメラペプチドでの免疫でCTLを誘導できた。また、Helper-epitopeで前もって免疫する事で速やかに高いCTL活性が得られた。(2)CTL-epitopeで免疫する際に、同時にco-stimulatorymoleculeであるB7-1あるいはISS(immunostimulatory DNA sequences,Science,273,352-354,1996)のcDNAを同時に筋肉内接種しOt-epitope単独に比べて高いCTL活性が得られた。(3)core蛋白のplasmidを用いた発現は一過性のことが多くCTLの誘導が困難であるが、長期間の発現が可能なelongationfacter 1 aを用いたvectorでは単回の筋肉内接種で充分な特異的CTL活性を得ることができた。(4)HCV/蛋白を組み込んだ結核菌(BCG)を用いて、経口あるいは腹腔内投与し、HCV特異的CTLを誘導した。 このような知見をもとに、現在HCV遺伝子導入マウスやrecombinantvirusによる感染モデルを用いてCTL誘導型ワクチンによるHCV蛋白発現細胞の排除や感染予防の有用性を検討している。またトランスジェニックマウスへの骨髄移植による慢性肝炎モデルの作製を準備中である。
|