研究概要 |
本研究費で、昨年までに世界中の肝疾患感患者約100例のGBV-C/HGV RNAの塩基配列を決定し、それらを分子進化学的に解析し、3つのgenotypeに分類した。さらにGBV-C/HGVの簡便なgenotyping法として,特異的制限酵素を使用するRestriction fragment length polymorphism(RFLP)法を開発した。 そこで、本年度は世界各地の慢性肝炎患者、肝硬変患者、肝細胞癌患者計574例につき、CBV-C/HGV RNAの検出を施行した。さらにその陽性例についてはRFLP法によるGBV-C/BGVのgenotypingを行い、その臨床像と比較、検討した。 HBV-C/HGV RNAの陽性率はアジア、アフリカ、欧米で各々23/200(11.5%),20/185(10.8%),16/189(8.4%)であり、特に有意差は認めなかった。また、病態別でも慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌の各々の患者の陽性率は、各々25/211(11.8%).18/151(11.9%),16/212(7.5%)で特に病態間で有意差を認めなかった。また、GBV-C/HGVのgenotypeも地域間では、先のように病態間では同様に差を認めない。しかし、GBV-C/HGVのgenotypeは地域間では、アジアの肝細胞癌ではGBV-C/HGV RNA陽性14例中12例がAsia型であった。このことはアジアの肝細胞癌にGBV-C/HGVの関与が考えられ興味深い。一方、アジアのHBV陽性肝細胞癌ではp53における特異的point mutationが報告されている。そこで、GBV-C/HGVのAsia型genotypeとp53の関与を想定し、現在これらのアジアの肝細胞癌患者のガン抑制遺伝子p53について検討中である。
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