特発性炎症性腸疾患患者より外科的に得られた腸管標本を用いて、非イオン性界面活性剤によりホモジェネートし可溶化される分画を抽出した。さらに、抗HLA-DR抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーによりHLA-DR分子を分離した。得られた分画に対し、酸による処理をおこなうことによりHLA-DR分子に結合している抗原ペプチドを解離させ、限外濾過により低分子である抗原ペプチドの分離を試みた。このペプチド分画を逆相カラムを装着した高速液体クロマトグラフィーを用いることによりいくつかの分画が得られた。しかし、これらの分画にかんしては特発性炎症性腸疾患の患者に特異的といえる分画は認められなかった。得られた分画について質量マス分析を行ったが、夾雑物の混入がみられたために、その分子量の決定には至らなかった。そこで、現在抗HLA-DR抗体によるアフィニティーカラムによる固相化抽出過程における純度を向上させる目的にて、最適な非イオン性の界面活性剤について検討を加えている。本年度の目標であった高速液体クロマトグラフィーにより分離条件設定に関しては目標が達成された。
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