研究概要 |
組織をホモジェネートする際にCHAPSを使用することにより、高速液体クロマトグラフィーにおける分離能が向上し、さらに収量が増加した。また、質量マス分析において夾雑物による雑音を除き、良好な信号を得ることに成功し、これらの面の改善から質量分析器によってマススペクトルを得ることが可能となった。高速液体クロマトグラフィーにて得られた分画に関して、イオントラップ式質量分析装置によってタンデムマス分析を行った。 4人の患者サンプルから得られたタンデムマス分析の結果をタンパク質データベースにて解析した結果、superoxide dismutase[Mycobacterium avium],siderophore biosynthesis regulatory protein[Ustilago maydis;fungus of corn],yeast hypothetical protein YFL025C[Saccharonyces cerevisiae],3-phosphoglycerate kinase[Avena sativa;oats],human arginil-tRNA synthetase[Human],HSV7J protein [Human herpesvirus 7],ATPase [Streptococcus faecalis],S21826 hypothetical protein [Homosapiens],succinyl coenzyme A synthetase alpha subunit[Dictyostelium discoideum;soil amoeba]のタンパク質に由来するペプチド信号が得られた。得られたペプチドには微生物由来のペプチドが多くみられ、炎症性腸疾患の病態への関与において興味が持たれた。これらの内容の一部に関しては平成12年4月の日本消化器病学会総会にて演題が受理された。今後は、さらに液体クロマトグラフィーをマス分析装置に直接連結し、さらに高感度な検索を行いたい。
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