研究課題/領域番号 |
09670566
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
塩見 進 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30170848)
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研究分担者 |
田守 昭博 大阪市立大学, 医学部, 助手 (30291595)
西口 修平 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10192246)
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キーワード | ODC遺伝子 / PEST領域 / SSCP法 / ODC過剰発現細胞 / Chang liver cell |
研究概要 |
1.臨床標本を対象とした研究: 平成9年度において35例の肝癌切除組織よりDNAおよびRNAを抽出し得た。この中より12例の肝癌と2例の正常肝を対象としてODC遺伝子の変化を検索した。抽出RNAをODC特異的プライマーを用いてRT-PCRしその産物をsubcloningした後シークエンスした。その結果、分化度の低い肝癌においてのみODCcDNAのPEST領域に遺伝子変化を認めた。また、RT-SSCP法にて複数の癌より移動パターンの異なるバンドを認めた。今後DNAの解析を予定しており、genomレベルでのODC異状が解明されることが期待できる。また検体数の増加に応じて患者の臨床背景(肝炎ウイルス、腫瘍の分化度、慢性肝炎の程度など)との比較検討が可能になりつつある。一方、SSCP法には非特異的なバンドを検出すること、再現性に乏しいなどの問題点を有しており、今後の課題である。 2.ODC過剰発現細胞の作成と形質変化に関する研究: 培養肝細胞として成人ヒト肝より樹立されたChang liver cellとラット肝より樹立されたARJを用いた。蛋白発現ベクターpOPRSVNSNのSma-Isiteへwild-ODCcDNAあるいはmutant-ODCcDNAを組み込んだ。作成したODCベクターをエレクトロポレーションにて細胞内に導入した。細胞をクローニングした後、軟寒天内においてコロニーの形成能を検討した。Chang liver cell単独および蛋白発現ベクターpOPRSVNSNのみではコロニーの形成は認めなかった。一方、ODCcDNA(wildとmutantともに)導入細胞ではコロニーの形成を認めた。以上より、ODCの過剰発現は培養肝細胞において形質転換を誘導することが示唆された。ODCを過剰発現させることで細胞が形質転換することを示したが、そのメカニズムを知る上でポリアミン量の変化を検討する必要がある。
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