研究概要 |
ポリアミンは細胞の分化、増殖に重要な役割をはたしていると考えられているが、その標的遺伝子はよく解っていない。そこで我々は肝臓癌の培養細胞を用いてポリアミンにより誘導されるmRNAのDifferential dysplay法による検討をおこなった。HUH-7,HepG-2,PLC/PRF-5,Chang liverの4つの培養細胞のうち、ポリアミン代謝の律速酵素であるODCの特異的阻害剤であるDFMOによって細胞増殖の停止及び細胞内部のポリアミンの枯渇を認め、ポリアミンの一種であるPutrescineの添加により細胞増殖の再開するものの選択を行い、HepG-2を実験に使うこととした。 選択されたHepG-2細胞についてDFMO処理したあと、Putrescineの添加したものとしなかったものについてDifferential dysplay法をおこなった。アクリルアミドゲル電気泳動を行い、差のでたバンドを切り出し、シークエンスを行い、ホモロジー検索をおこなった。putrescine添加にて増加するバンド55本を認め、putrescine添加にて減少するバンド38本を認めそのバンドをきりだしてPCRで増幅した。そのバンドをdirect sequenceを行って、gene bankにてhomology検索を行い、遺伝子を同定した。 その中で呼吸鎖に関連した遺伝子3個(cytochrome oxidase subunit 1、low molecular mass ubiquinone-binding protein、NADH dehydrogenase subunit 2)についてNorthern解析し、putrescineにより発現量が低下することを確認した。そこで細胞内のATP量を検討したところDFMO処理されたHep G2細胞では外因性ポリアミンによってATPが増加することが明らかとなった。
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