研究概要 |
C型肝炎ウイルスコア蛋白に対する細胞障害性Tリンパ球(CTL)を誘導する目的で、pEFBOS,pMAMneo,pcDNA3の各プロモーターにC型肝炎ウイルスコア蛋白領域をコードするcDNAをつなぎ、純系マウス(BALB/c)を免疫した。最終免疫から1-2週間後に脾細胞を取り出して、CTLの誘導を試みた。in vitroでのCTLの誘導刺激には、BALB/cで報告されているC型肝炎ウイルスコア蛋白のCTLエピトープに相当する合成ペプチドを10microg/mlで用いた。刺激開始48時間後にhuman rIL-2を20U/ml加え、刺激開始6-7日目にBALB/cマウスと同一のMHCを有するmastcytoma cell lineであるP815を標的細胞にして、CTL活性を測定した。特異的標的細胞はP815に合成ペプチドを10microg/mlで混合して作成した。免疫の回数は1-3回の間で検討した。各免疫のインタバルは2-8週の間で検討した。プラスミドの量は、50-200microgの範囲で検討した。投与ルートととしては筋注を中心に、皮下注、脾内投与を試みた。これらの条件を種々組み合わせたが、CTLの誘導は成功しなかった。ポジティブコントロールとして同じcDNAを組み込んだワクシニアウイルスで免疫し、同様の方法でCTLを誘導すると成功したので、上述したプラスミドによるin vivoでの免疫がうまくいかなかったと考えられる。 海外の文献で、同じ特異性、同じマウスの系、同じプロモーターでC型肝炎ウイルスコア蛋白特異的CTLの誘導に成功したという報告はあるが、非常に弱いCTL応答であり、assayの特異性や再現性の点で改善の余地があると考えられ、何よりもヒトやチンパンジーで実際のC型肝炎ウイルス感染を予防できるかどうか疑問が残る。 現在、さらに別のプロモーターを使ったり、アジュバントとしてサイトカインのcDNAとの併用による強いCTLの誘導を検討中である。
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