研究課題/領域番号 |
09670572
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
堀田 恭子 北里大学, 医学部, 教授 (10050402)
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研究分担者 |
小泉 和三郎 北里大学, 医学部, 講師 (00195645)
岡安 勲 北里大学, 医学部, 教授 (20014342)
市川 尊文 北里大学, 医学部, 講師 (30245378)
五艘 行信 北里大学, 医学部, 講師 (20112659)
石原 和彦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10104530)
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / モノクローナル抗体 / 粘液ゲル層 / 胃粘液 / ムチン / 胃粘膜 / ドットブロット |
研究概要 |
ヘリコバクター・ピロリ感染に対する胃粘液の関与を解析することを目的に今年度は以下に示す実験を行った。 1. 血液型がA、B、AB、Oのヒト胃液から、ムチンをリジンセファロースクロマトグラフィーにより精製した。ヘリコバクター・ピロリによるヒト赤血球凝集に対する精製ムチンの阻害効果を見ることで、ムチンとヘリコバクター・ピロリの結合を測定した。胃液ムチンはヘリコバクター・ピロリによるヒト赤血球凝集を高度に阻害し、ヘリコバクター・ピロリが胃ムチンに結合することが明らかとなった。さらにこの結合にはシアル酸が関与することが、ムチンをシアリダーゼ処理した実験より明らかとなった。また、ABO式血液型糖鎖は、この結合にあまり関係しないことがわかった。 2. ヘリコバクター・ピロリと結合する胃ムチンを同定するために、ヒト胃切除標本よりムチンを精製し、分画を行った。精製ムチンをゲルろ過とイオン交換クロマトグラフィーで分画し、表層ムチンと深層ムチンの分離を試みた。我々が開発したブロット/PAS染色法で主に表層ムチンを、またやはり我々が開発した単クローン抗体の一つであるHIK1083を用いたELISAで深層ムチンを検出した結果、両ムチンにサイズの違いを示す所見が得られた。両ムチンの完全な分画の試みはなお継続中であるが、分画前の精製ムチンはプレート上で直接ヘリコバクター・ピロリと結合することが確認された。 3. ヘリコバクター・ピロリがヒト胃に感染して炎症を引き起こすが、ラットやマウスの胃には感染し難い原因を探る目的で、これらの動物の胃からムチンを精製し結合実験を行なった。その結果、ヘリコバクター・ピロリとこれら動物の胃ムチンとの結合は極めて弱いことが示された。ムチンの違いを解析することで、ヘリコバクター・ピロリのヒト胃への感染阻害薬の開発に寄与するデータを得ることが期待された。
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