研究課題/領域番号 |
09670574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
岩男 泰 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40168547)
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研究分担者 |
真壁 利明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60095651)
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
熊井 浩一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30101984)
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キーワード | レーザー / 自然蛍光 / 大腸癌 / 異型上皮 |
研究概要 |
肉眼的には識別困難な平坦型早期大腸癌や、炎症を母地として発生した癌の発見を目的とし、内視鏡観察下にレーザーを照射して得られる励起光を解析し、細胞構造やエネルギー代謝の変化を蛍光スペクトルとしてとらえようとする研究ある。健常部、炎症部、腫瘍部の組織およびdysplasia組織の励起光波長の特性の追究を行い、各々を識別する診断法を確立することを目的としている。今回、内視鏡観察下に使用可能なレーザースキャニング装置としてオリンパス社製LIFE-Lungを用いた。この装置を用いて内視鏡観察下に442nmのHe-Cd laser光を照射し、生体内の自家蛍光物質を励起した。ファイバースコープに装着した高感度カメラにより緑と赤の波長領域の微弱な自家蛍光を検出、増幅し、コンピューターで解析後、モニター上に映し出す方式を採用した。これにより、自家蛍光を利用するため、フォトフィリンやヘマトポルフェリン等の光感受性物質の投与を必要とせず、内視鏡観察と励起光の解析がリアルタイムで可能となった。モニター上では正常組織は緑色調で観察された。また大腸癌患者18名にスキャニングを行い、癌組織は全例が緑が弱い赤みがかった色(暗赤色)として認識された。おそらく、正常組織は自家蛍光物質が多く、癌組織には自家蛍光物質がすくないことと、粘膜の肥厚に伴う自家蛍光の透過性低下によるものと考えられた。また、腺腫と過形成部において蛍光スペクトラム波長に差異があることが示唆され、今後、組織型や分化度の違いを、蛍光スペクトルの高感度分光により解析する基礎的研究を行う予定である。これにより、腫瘍の異型度の正確な判定および炎症部位とdysplasiaの鑑別を可能にしたい。
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