平成9年度研究状況 Glycoscan Systemを用い、糖鎖分析のソフトを確立。細胞培養液、人血液、尿につき検討中。 Glycoscan Systemは最近開発されたもので、各種糖分解酵素(遊離型糖を得る)と、蛍光ラベル後の電気泳動で複合糖質の糖鎖を解析する装置である。現在、同一検体を使用し、再現性の確認、解析手順の確立を行っている。 肝細胞癌の増殖、進展、との観点より、癌細胞で活発な発現を認める複合糖鎖は細胞接着機能と密接な関係が認められており、ガングリオシドを中心に、細胞接着および細胞間の相互作用に及ぼす影響の確認を行っている。肝癌細胞としてはHepG2を使用、異なる条件下(細胞数、細胞周期別、血清、FCS添加の影響)にて培養液を採取、糖鎖分析開始している。なお細胞表面の複合糖質の分析にはフローサイトメトリイを用いた従来の方法では細胞膜の障害が問題となり、よりよい固定法につき検討中である。さらにラット肝癌発癌モデルを作成中、発癌に際しての細胞間情報をBrdU染色にて観察し、複合糖質への影響をみる。 上記に平衡し、臨床的検討として肝細胞癌を含む各種肝疾患における血中Ganglioside(GM1、GM2、GM3など)の測定、および発癌との関係が重要とされているL-fucoseを尿中より遊離型Fucoseを指標とし、各種肝疾患および肝細胞癌症例にて検討中である。
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