研究課題/領域番号 |
09670588
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
向坂 彰太郎 久留米大学, 医学部, 助教授 (90158923)
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研究分担者 |
大石 正仁 久留米大学, 医学部, 助手 (80289412)
古賀 浩徳 久留米大学, 医学部, 助手 (90268855)
原田 大 久留米大学, 医学部, 助手 (00241175)
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キーワード | 免疫組織化学 / 肝再生 / 血管内皮増殖因子 / 劇症肝炎 |
研究概要 |
血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管内皮細胞の再生において最も強力な増殖因子であることが知られているが、VEGFが肝臓の再生にいかに関与しているかについての検討は少ない。そこで、VEGFの肝臓の再生増殖への関与を検討するため、様々な肝疾患における血清中VEGFの測定を行った。また、ラットに70%の肝切除を行い、経時的に採取した肝臓におけるVEGFの発現を免疫組織学的に検討した。 [結果]人血清中のVEGFは、急性肝炎患者では正常人より高値を呈し、逆に、肝硬変および劇症肝炎患者では低値を示した。さらに、劇症肝炎患者における生存例、死亡例を比較すると、生存例では入院後の血清VEGF値が治療に伴って徐々に増加していたが、死亡例ではこのような増加が見られず、低値が持続することが明らかとなった。 実験的にラット肝切除を行うと、24時間を経過すると、中心静脈周囲の肝細胞に抗VEGF抗体に陽性の肝細胞が観察されるようになり、48時間で最も多くの同部位の肝細胞が陽性となった。さらに、肝切除後24〜48時間には、胆管上皮細胞にもVEGFが陽性となった。肝細胞の再生能を検討するために平行して行ったKi67の免疫組織化学検討では、Ki67陽性肝細胞は肝切除48時間後に小葉辺縁部に多く分布していたが、類洞壁細胞にも陽性像が見られた。現在、VEGFの肝組織における発現をWestern BlotとELISA法により検討中である。また、今後VEGFに対するレセプターの発現を詳細に検討する予定である。
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