• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

Helicobacter pylori感染における菌体-宿主相互作用の解析

研究課題

研究課題/領域番号 09670589
研究種目

基盤研究(C)

研究機関福井県立大学看護短期大学部

研究代表者

加藤 卓次  福井県立大学看護短期大学部, 教授 (70145902)

研究分担者 東 健  福井医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60221040)
キーワードHelicobacter pylori / 慢性胃炎 / HLA
研究概要

H.pylori感染が慢性胃炎の原因であると認められているが、慢性胃炎から、慢性萎縮性胃炎に進展することにおいて、個人により差がみられる。すなわち、同年代のH.pylori感染陽性者においても、胃粘膜萎縮の強い者と、ほとんど無い者とが、臨床の場で見かけられる。この個体差の要因の一つとして、宿主の遺伝的背景因子が関与していることが考えられる。多くの感染症における免疫応答の個体差は主要組織適合複合体(MHC)、特にHLA(ヒト白血球抗原)の多型性により決定されていると考えられている。HLAの多型は感染症における特定抗原に対するT細胞の免疫応答に起因する疾病への感受性の個体差を決定する遺伝要因と考えられている。H.pylori感染においても、宿主の異なったHLAタイプは病原に対し異なった免疫反応を生じると考えられる。胃粘膜萎縮の宿主側の遺伝的背景因子について検討するため、H.pylori陽性高度萎縮性胃炎85例(内視鏡的腺境界がopen type)、H.pylori陽性で萎縮の少ない36例(内視鏡的腺境界がclosed type:C1-2)、H.pylori陽性分化型胃癌44例、H.pylori陰性正常者群46例についてHLA-DQA1のタイピングをPCR-RFLP法を用い行った。HLA-DQA1の対立遺伝子頻度は各群で異なり、対立遺伝子DQA1^*0102の頻度はH.pylori陽性高度萎縮性胃炎で0.094、及び胃粘膜萎縮が背景となるH.pylori陽性分化型胃癌で0.057とH.pylori陽性で萎縮の少ない群0.306及びH.pylori陰性正常者群0.228に比し有意に低いことが認められた。すなわち、HLA-DQA1^*0102がH.pylori感染例における胃粘膜萎縮に対して抵抗性に関与していることが考えられる。同じH.pylori感染においても、胃粘膜萎縮を生じるためには宿主側の背景遺伝的要因が関与しており、HLA-DQA1遺伝子がその一つと考えられた。

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi