本研究では気管支上皮細胞を対象にして、マクロライドによるIL-8遺伝子発現調節メカニズムについて検討した。TNF刺激は、BET-1A細胞にIL-8mRNAを発現誘導した。このIL-8mRNAの誘導はエリスロマイシン(EM)やクラリスロマシン(CAM)の前培養により濃度依存性に抑制された。CAMは、その前培養時間を長くすればするほど強くTNFによるIL-8遺伝子発現誘導を抑制した。この際の培養上清中のIL-8蛋白レベルも抑制されていることがELISA法にて確認された。CAMは、BET-1Aの細胞増殖に対しては影響を示さなかった。CAMは、TNFによって誘導されたIL-8mRNAのstabilityについては影響を示さなかった。IL-8遺伝子の5'-flanking部位は、プロモターとしての活性をもっており、特に-112までの領域まではminimum promoter activityが存在していた。TNF刺激は、これらのプラスミドのルシフェラーゼ活性を高めた。CAMは、TNFによるルシフェラーゼ活性の増加、つまりプロモター活性を抑制した。特にこの抑制はAP-1結合部位を含むpN130で有意であり、AP-1結合部位を含まないpN112では、有意の抑制は示さなかった。以上より、CAMによるTNF誘導IL-8遺伝子発現の抑制は、AP-1結合部位が関与している可能性が示唆された。次にゲルシフトアッセイにより、TNFによるAP-1結合蛋白の誘導がCAMによって影響されるか否かについて検討した。TNFはBET-1A細胞にNF-kB結合蛋白を誘導したが、CAMはこれに何の影響も及ぼさなかった。つまり、CAMはNF-kB結合部位の抑制示さなかった。一方、AP-1結合蛋白もTNFによって誘導されたが、CAMはこの誘導を抑制していた。つまりCAMは、AP-1結合部位を介してIL-8遺伝子の転写を抑制している可能性があることが示された。
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