本研究は気管支喘息の発症におけるNKT細胞の役割を明らかにするために、気管支喘息患者及び健常者T細胞のT細胞レセプター(TCR)のVα24遺伝子のヘテロジェニティおよび機能的役割を解析することを研究目的とした。すなわち、invariant Vα24JαQ細胞が増加しているか否か、TCR Vα24遺伝子のCDR3領域にヘテロジェニティが有るか否か、Vα24陽性T細胞のTCE Vβレパトアがオリゴクローナルか否か、さらにVα24陽性T細胞のIL-4および他サイトカイン産生能、細胞表面マーカーおよび活性化機構について検討した。 健常者におけるNKT細胞はTCRとして単一のVα24JαQを持ち、NK細胞レセプターとしてNKRP1を持つdouble-negative(DN)T細胞であることが明らかとなった。さらにDNT細胞を抗Vα24抗体で刺激すると、2時間後をピークとするIL-4産生が認められた。しかしCD4陽性T細胞中にはこのVα24JαQ+NKRP1+細胞は殆ど存在しなかった。またヒト骨髄中でも増加は認めなかった。アトピー性喘息ではDNT細胞中にVα24JαQ+細胞は殆ど存在せずNKT細胞は消失していた。またCD4陽性T細胞中にもVα24JαQ+細胞は殆ど存在しなかった。これらのことから、アトピー性喘息ではNKT細胞の消失がその発症に関与することが示唆された。
|