研究課題
基盤研究(C)
肺胞マクロファージ(以下PAM)の遺伝子ベクターとしての有用性の検討の研究にあたり、本年度は遺伝子導入に関する基礎的研究を行った。導入細胞としてBALB/c mouseのPAMを起源としてSV40ウイルスを感染させ確立されたMH-S細胞株を利用した。遺伝子導入の方法としてはLipofectin法、Ca共沈殿法、Electroporation法、FuGENE6法を用いた。同時に、各々の遺伝子導入法における適切なMediumの検討を行った。その結果、Ca共沈殿法は本細胞株の遺伝子導入には不適切であることが判明した。また、その他の導入方法に関してはLacZ assayを用いて詳細に検討し最も適切な遺伝子導入の条件の設定を確立した。しかしmouseから得られた野生株のPAMに関しては上記の確立された条件でも未だ十分な遺伝子の導入が得られていない。本年度の検討によりmouseのPAMにおいてCAGGS promoterが高い発現を示すことが確かめられたが導入効率が低いことがわかった。この欠点を克服するため、EB virus promoterを用いるシステムのPAMへの応用について現在検討中である。更に本年度はLacZ遺伝子の高い発現を示すMH-S細胞株の樹立がなされたため、mouseにin vivoで投与して経時的に動態について検討を行う。また、将来的にヒトの遺伝子治療におけるベクターとしての可能性を検討する目的で各種肺疾患患者の肺胞洗浄より得られたヒトのPAMに対する遺伝子導入について検討する予定である。
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