研究課題/領域番号 |
09670614
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大串 文隆 徳島大学, 医学部, 助教授 (80201375)
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研究分担者 |
中村 陽一 徳島大学, 医学部, 講師 (00237447)
楊河 宏章 徳島大学, 医学部, 助手 (50263827)
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キーワード | 線維化 / PGE2 / Th2様サイトカイン / cyclooxygenase-2 / Th1様サイトカイン / サイトカイン産生抑制薬 |
研究概要 |
肺の線維化は肺組織の非可逆的変化であり、進行性の場合は予後不良の因子となる。PGE2は線維芽細胞の増殖やコラーゲン産生を制御し線維化の過程では抑制因子として位置付けられている。線維化の機序解明及び治療法開発を目的に肺線維芽細胞、単球・マクロファージからのPGE2産生に及ぼすTh1、Th2サイトカインの影響について検討した。まt、線維化病巣に集積した線維芽細胞の機能変化をPGE2産生能の面から解析した。さらに近年開発されているサイトカイン産生抑制薬のPGE2産生に対する効果について検討した。(1)単球・マクロファージからのPGE2産主に及ぼすTh1、Th2サイトカインの影響:Th1サイトカイン(IFN-γ)はPGE2産生に影響を及ぼさなかったが、Th2サイトカイン(IL-4、IL-10、IL-13)はシクロオキシゲナーゼ(COX)-2合成を制御することによりPGE2産生を抑制した。抑制の程度は単球の方がマクロファージに比べ強く、Th2サイトカインではIL-4が最も強かった。同時にIL-4は抗炎症性アラキドン酸代謝物(15-HETE)の律速酵素である15-lipoxygenase産生を増強した。これらの結果からTh2サイトカインは炎症には抑制的に働き、線維化には促進的に作用している可能性が示唆された。(2)ブレオマイシン肺線維症モデルラット肺から得た線維芽細胞の機能変化:線維化肺から得た線維芽細胞の増殖能は亢進していた。一方PGE2産生能は対照に比べ低値であり、PGE2産生能の低下が線維化に関与している可能性が示唆された。(3)サイトカイン産生抑制薬のPGE2産生に及ぼす影響:サイトカイン産生抑制薬(FR167653)はLPS刺激単球・マクロファージのCOX-2発現を制御することでPGE2産生を抑制し、新しい抗炎症薬となる可能性が示唆された。以上、これらの結果に基づいて、サイトカイン調節の面から線維化の治療法開発を試みる。
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