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1997 年度 実績報告書

気道系のトリプターゼ、特に新しく見出したトリプターゼの気道炎症における意義-特にウイルス感染における意義-

研究課題

研究課題/領域番号 09670616
研究種目

基盤研究(C)

研究機関徳島大学

研究代表者

安岡 劭  徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30035414)

研究分担者 佐野 壽昭  徳島大学, 医学部, 教授 (80154128)
小山 一  徳島大学, 医学部, 助教授 (80109074)
中村 陽一  徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (00237447)
キーワード気道 / トリプシン様プロテアーゼ(トリプターゼ) / 遺伝子 / プラスミノーゲンアクチベータ-様プロテアーゼ / トリプシン / インフルエンザウイルス
研究概要

1.目的 我々はヒト気道液中に見出したヒト気道トリプシン様プロテアーゼ(HAT)の気道における生理的意義や病態的意義を解明することが本研究の第一の目的である。インフルエンザウイルス(InfV)が生体、殊に気道系で感染する際に、本ウイルスの活性化に関与するプロテアーゼを検索することが本研究のもう一つの目的である。
2.成績 本年度は以下の成績を得た。
(a)HAT遺伝子のクローニングとcDNAの分析:HATのcDNAに成功し、その塩基配列からHATの一次構造を推定した。その結果、HATは232個のアミノ酸残基からなる触媒領域と186個のアミノ酸残基からなる非触媒領域とから構成されている分子量約47kDaのタンパク(418個のアミノ酸残基)で、非触媒領域のN末端近くに膜を貫通する疎水性の強い部分がもつことからII型膜タンパクと推定された。この膜タンパクはHATの前駆体で、触媒部分を細胞外に向け、非触媒領域で膜を貫通して存在し、限定分解を受けて成熟型、すなわちHATに転換すると推定された。Northern blotによりHAT遺伝子の発現をヒト12組織で検索した結果、気管組織に最も高い発現がみられた。
(b)HATの凝固系と線溶系に対する影響:HATは血清中および気道液中の濃度のフィブリノーゲン、特にそのα鎖を分解し、トロンビンによるフィブリンクロット形成能を低下させた。HATはまたプラスミノーゲンアクチベータ-活性を示した。近年、血管外に発生するフィブリンは組織障害を惹起することが報告されており、また気道腔内のフィブリンは粘液-線毛運動を障害すると考えられる。これらの成績からHATは気道腔内においてフィブリン形成の抑制、発生したフィブリンの分解促進、の両作用で広義の抗炎症、生体防御に関与していると推定される。
(c)気道系のHAT以外のトリプシン様プロテアーゼの検索:生化学的な分画操作で、気管には肥満細胞トリプターゼが活性化された状態で存在すること、HATは前駆体の状態で存在すること、従来知られているウロキナーゼや組織プラスミノーゲンアクチベータ-とは異なるプラスミノーゲンアクチベータ-様プロテアーゼ(これを仮にプロテアーゼXとする)、の前駆体が存在することが、明らかになった。プロテアーゼXを活性化する酵素が気道液中に存在することも明らかになった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Susumu Yasuoka: "Purification,characterization and localization of a novel trypsin-like protease found in the human airway" Am J Respir Cell Mol Biol. 16. 300-308 (1997)

  • [文献書誌] Kazuyoshi Yamaoka: "Cloning and characterization of the cDNA for human airway trypsin-like protease" J Biological Chemistry. (印刷中). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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