研究概要 |
平成9年度には、香川医科大学において検出されたMRSA臨床分離株を用いて、AP-PCR法によるタイピング確立のための基礎的検討を実施した。具体的には以下のような項目を検討した。 (1)MRSA菌株からのDNA抽出法として標準法であるlysostaphin、SDS、proteinase K処理後,phenolとchloroformにてDNAを抽出しethanolで沈殿させるという方法とIn sta Gene Purification Matrixを用いた簡便なDNA抽出法との比較。 (2)pHおよびMgCL_2濃度の変化に伴う増幅パターンの差違。 (3)primerの種類(M13 sequencing primer[TTATGTAAAACGACGGCCAGT],M13 reverse Primer[GGAAACAGCTATGACCATG],およびKZ primer[CCCATGTGTACGCGTGTGGG]など)による増幅パターンの差違。 (4)PCRの温度設定、サイクル数、一段階法または二段階法との比較。 またPulsed-field gel electrophoresis、プラスミド解析、コアグラーゼ型、および薬剤感受性などとの比較を行った。さらに確立されたAP-PCR法を用いて広くMRSAのタイピングを実施し、その有用性を証明した。またAP-PCR法によるタイピングを他の菌株(Nocardia、Pasteurellaなど)にも応用し、臨床的有用性を証明しつつある。
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