平成9年度にはメチシリン耐性ブドウ球菌のarbitrarily primed polymerase chain reaction(AP-PCR)法によるタイピング手法を確立した。平成10年度にはこのAP-PCR法用いて広くメチシリン耐性ブドウ球菌のタイピングを実施した。AP-PCR法によるタイピングを確立しえたことにより、従来証明が困難であった院内感染症をきわめて簡便に証明することができるようになり、院内感染対策を実施するうえできわめて重要な手法となりうることを証明した。さらに臨床応用として香川医科大学附属病院において検出されたハベカシン耐性のメチシリン耐性ぶどう球菌の菌株について、検出時期、感染経路などを含めた詳細かつ具体的な解析を実施し、AP-PCR法の臨床的有用性を証明するとともに、院内感染の存在を実証した。 平成11年度には、このAP-PCR法を他の菌株(Pseudomonas cepacia、およびPasteurellaなど)に応用し、AP-PCR法によるタイピングは優れた識別能を有することを明らかにした。さらに感染経路が全く不明である非定型抗酸菌症を対象に、このAP-PCR法の有用性を検討し、AP-PCR法は非定型抗酸菌症についても応用可能であることを示した。
|