研究課題/領域番号 |
09670618
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
相沢 久道 九州大学, 医学部, 助教授 (90175711)
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研究分担者 |
吉田 誠 九州大学, 医学部, 医員
井上 博雅 九州大学, 医学部, 助手 (30264039)
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キーワード | 気管支喘息 / 気道過敏性 / 気道炎症 / NO / L-NAME / i-NANC / 好酸球 |
研究概要 |
喘息におけるNOの役割を、気管支拡張物質としての役割、炎症性メディエーターとしての役割の両面から検討した。まず、動物実験においてネコを用いてNO阻害薬であるL-NAMEを投与したときに気道過敏性がどう変化するのかを検討した。L-NAME投与により気道過敏性は有意に亢進した。さらにカプサイシン吸入によりi-NANC依存性の反射性の気道拡張反応もL-NAME投与により消失することが判った。以上よりi-NANCから反射性に放出されるNOは気道過敏性を抑制していると考えられた(Eur Respir J,in press)。次に、同様のことがヒトでも起こっているのかどうかを検討した。健常者、喘息患者にL-NAMEを吸入させてその前後で気道過敏性を測定した。メサコリンに対する気道過敏性はL-NAME吸入前後で変化を認めなかったが、ヒスタミンに対する気道過敏性はL-NAME吸入後に喘息患者でのみ亢進した。この結果は、喘息患者ではNOを介するi-NANCによる反射性の気拡張反応が亢進しており、気道収縮に対して防御的に働いていると考えられた。 炎症性メディエーターとしてのNOの役割については、まず動物実験でオゾン曝露による気道炎症・気道過敏性を用いて検討した。その結果、オゾン曝露により生ずる気道炎症と気道過敏性の持続にはNOが重要であると考えられた。次に、喘息患者の気道過敏性、誘発喀痰、ピークフロー、呼気中NOを測定し、NOが喘息の重症度を反映しているかどうかを検討した。その結果、呼気中NOは喀痰中の好酸球数と有意に相関し気道の炎症を反映しているものと考えられ、気道過敏性との間にも有意な相関を認めた。 以上のようにNOは気管支拡張作用を有し気道過敏性に抑制的に働いている反面、気道に炎症を惹起し気道過敏性を亢進するようにも働いていることを、動物実験・臨床成績の両面より明らかにした。
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